3月2日 十五代樂吉左衛門

先月29日で日経私の履歴書「樂直入」が終わりました。今回の内容は本当に素晴らしかった。十五代樂吉右衛門がその伝統に抗いながら樂家の陶芸家、芸術家として生きることに悩み、苦しみ、彷徨い、葛藤しそして今次世代に引き継いだその歴史。最終回彼は「あなたの宝物は」の問いには「人との出会い」「あなたの誇りは」に「独立自尊を貫いた祖先の歩みと樂焼きの伝統」と答える。そこには多くの葛藤もあるが、受け継ぐものにしか分からなぬ。甘んじて孤独であると。「愛するものは?」「家族です」と。彼の次男が小さい頃「お兄ちゃんが家を継いだら僕の名前は変わるの」と妻に尋ねた。直入は妻と話し合い連綿と続いてきた一子相伝、樂の姓を名乗るのは跡継ぎだけで他の男子は養子に行き姓を変えるという事を止めた。制度に守られて継承される伝統にどれほどの意味があるか。私達はこどもたちが自らの力で精神の自立を果たし、人生を戦い抜いて欲しいと思ったと。最後に信じる大切な思いはの問いに「命の循環と答えよう」と。