1月31日 営業担当者の雑記

通勤電車の中で今読んでいる本にこんな短歌が紹介されていました。「「奥さんは元気」とふっと聞く妻をお前さんだときつく抱きしむ:渡辺光男」というものです。認知症になった妻をそれでも愛おしく思う夫の心情がよく偲ばれるとても情愛のあふれた作品です。前職の先輩が母親から「どちらさまで?」と聞かれたと悲しんでいました。誰しも年を取れば記憶力は衰えそしてそれが酷くなれば赤ん坊に戻っていきます。そしてこの状態を頭で理解はしていても目の前の状況には中々上手く対応出来ません。私も母親が認知症を患い最初の子ということで彼女が与えられるすべての愛情を注がれたと思っている私のことが時に分からなくなりました。感情の揺れは随分とありはしましたがやはり大好きだったのだなと実感し始めた時にそれを伝えきれないのは悲しいことです。それでもこの作者は奥様を大切に慈しんでいるのですね。わが身に照らしてみると薄ら恥ずかしくなります。