チューニング 2018年2月25日

 

 

 

 マトリックスという映画があった。人類とAI(人工知能)が全面戦争を起こした未来の地球。AIに敗北した人類はAIの管理の元、仮死状態で一生を終わる。人類はAIが創り出した仮想現実の世界でそれぞれの人生を生きていると思っている。つまり、ずっと夢を見させられているような状態だ▼戦争で地球環境が激変。地上に太陽の光が届かなくなってしまった。太陽エネルギーを動力源としていたAIは困り、太陽光の代わりに人間の生体反応によって作られる微力な電気を利用することを考えた。仮想現実を与えて脳の活動を活発にし、より多くの電力を得ようとする▼この状況に気がついた一握りの人類が反乱を起こす。私が面白いと思ったのは、反乱軍を裏切った男がAIと取引をするシーン。男は高級なステーキをほうばりながら、次はもっといい生活をしているという設定で仮死状態にもどしてほしいと要求する。もちろん男はステーキを食べているわけではなく、AIがそう感じさせているだけ。それでも脳が満足しているのだからかまわないと男は思う▼私はいい本を読み終わったとき、他の娯楽では得られないような満足感を得る。活動していたのは脳だけ。裏切り者の男の気持ちが分かるような気がする。

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