松戸ゆかりの柳裕章監督、初の長編映画
『事実無根』凱旋上映会
6月7日から柏・キネマ旬報シアターで上映

 映画『事実無根』の「特別凱旋上映会」が先月26日、松戸市民劇場で行われた。
 柳裕章(やなぎひろあき)監督は1980年8月27日群馬県生まれ。父の転勤で茨城の日立市や阿見町、松戸市で幼少期を過ごし、県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学人間科学部を中退し、一般企業でのサラリーマン経験を経てバンタン映画映像学院に入学。卒業後、フリーとなり吉田啓一郎監督、五十嵐匠監督、佐々部清監督、熊切和嘉監督、山下智彦監督などの助監督に就き、映画『ROOKIES|卒業|・劇場版』『半次郎』『私の男』『この道』『花まんま』、テレビドラマ『タクシードライバーの推理日誌』『科捜研の女』『鬼平犯科帳』『雲霧仁左衛門』など現在まで100を超える現場で研鑽を積んだ。2015年からは拠点を京都に移した。2021年テレビ朝日『科捜研の女』season21第12話で初監督。2024年『科捜研の女』で第6話の監督を担当した。
 映画『事実無根』は、京都・下京区に実在する喫茶店「そのうちcafe」を舞台に、2023年に製作された柳監督の初長編監督作品。昨年、国際映画祭で13冠を達成。2月にスタートした京都シネマでの凱旋上映では、公開初週は平日を含めて満席を連発。当初2週間の予定が続映に次ぐ続映で7週間のロングランとなるなど、記録的なヒットとなった。5月10日からは新宿Ks cinemaほか全国順次公開が決まっており、松戸近辺では、6月7日から柏のキネマ旬報シアターで上映が始まる。
 映画『事実無根』は、次のような物語(公式ホームページより)。
 京都の下町にある喫茶店「そのうちcafe」は子どもらや地元の常連客にとって憩いの場だ。そんな店に、ある日「大林沙耶(さや)」と名乗る若い女性(東茉凜)がアルバイトとして働き始める。高校を卒業したばかりで職歴もないという沙耶は、不器用ながらも一生懸命かつ異様なほど几帳面に毎日働き、その姿はマスターの星隆史(たかし)(近藤芳正)はもちろん、常連客の間で注目の的となっていった。
 そんな沙耶の姿を店の外から盗み見ている男がいた。問いただせば、セクハラの冤罪(えんざい)で大学教授の職を追われ、ホームレスになってしまったこの男・大林明彦(村田雄浩)は、沙耶の元義理の父親だという。家族に迷惑をかけまいと妻と娘の元を離れた大林が唯一後悔しているのは「セクハラは事実無根である」という説明を娘にしなかったことだった。実は星もDV(ドメスティックバイオレンス)があったという妻の一方的な証言のせいで、離婚後、娘と一度も会えないままの人生を送っていた。そこで、星は沙耶と大林の再会を画策するが、突然思いも寄らない事実が明らかになり、星たちはそれぞれの過去ともう一度向き合わざるを得なくなる。
 いつ誰に降りかかるかもしれぬ「事実無根の罪」、どこの家にも潜んでいる「家族の問題」。これらが複雑に絡み合い翻弄される父娘の姿を、京都に実在する一軒のユニークな喫茶店を通して映し出す。長い間止まったままの家族の時間…。しかし「事実」より大切なものに気づいた時、人生の時計の針は再び動き出す。
 柳監督は、「上映会で初めてお会いしたお客様、30年振り、40年振りに再会できた方々、ご来場頂いた皆様に心より感謝を申し上げます。あの日はたくさんの〝再会〟の瞬間があったように思います。懐かしい仲間、恩師、親戚、友達のお母さん、お父さん…。30年や40年振りの再会の瞬間が私だけではなく、そこかしこで起こっていたのが印象的でした。自分が今、ここに居られることを支えて頂いた方々に自分の作品を観て頂けた事は感慨深く、貴重な時間でした。それも映画に目覚めた時に暮らしていた松戸の地で。新しい出会いの場をつくり、人を結びつける力を映画は持っているんですね。松戸の上映会を経て、柏のキネマ旬報シアターでの上映も6月7日からに決定しました。松戸に来られなかった方、松戸に来られた方も、是非、柏へお越しください。新しい出会いと、ご縁を楽しみにしております」と話している。

松戸市民劇場での特別凱旋上映会。左端手前が柳裕章監督

柳裕章監督の舞台挨拶

 

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