松戸神社の神輿を修復
2020年の神幸祭に向け半世紀ぶり

七五三の参拝客でにぎわう境内に飾られた神輿

 明治21年(1888)に氏子により奉納された松戸神社の神輿(みこし)が半世紀ぶりに修復されることになり、11日に松戸神社本殿の正面横に飾られ、修復前最後の姿を披露した。穏やかな天気の日曜日、境内は七五三の参拝客でにぎわっており、神輿の前で記念写真を撮る親子連れの姿が見られた。
 この宮神輿は、唐破風(からはふ)屋根づくりで、大神輿と呼ばれる四尺の大きさ。細くすぼまった形状のものが多い江戸神輿に比べると寸胴型で重厚さと迫力があり、現存する「行徳型」としては希少だという。
 修復は松戸神社氏子町会が発足した松戸神社神輿修復委員会が取り仕切り、行徳の神輿製作所で修復作業が行われる。
 神輿は現在でも美しく見えるが、装飾が痛み、内部がもろくなっているため担ぐことができない。前回の神幸祭では、台車に乗せられて氏子らがひいた。
 松戸神社の神幸祭は平成2年(1990)10月14日に60年ぶりに再興された。その前年に神社神輿倉から、ところどころ損傷した「四神」が発見されたことで再興の機運が高まった。

修復資金を募る「四神」がデザインされたTシャツを手にする氏子町会のみなさん

 「四神」は中国の神話に出てくる天の四方(東西南北)を司る青龍、白虎、朱雀、玄武という霊獣。日光で1年をかけて修復した。
 神幸祭は、神社提灯に始まり、先導、奉祝旗、稚児行列、神幸旗、鼻高面、所役、先太鼓、大榊、そして「四神」の600人以上、300メートルを超える行列が松戸神社から松戸駅周辺を練り歩く。その後は10月18日が日曜日にあたる年にのみ執り行われ、平成5年、10年、21年に行われた。
 次回は東京オリンピック・パラリンピック後の2020年10月18日に執り行われる。修復は次回の神幸祭に間に合うように、2020年春に終わる予定だという。
 松戸神社氏子町会でつくる「百年神輿プロジェクト」では、「四神」をデザインしたTシャツを販売し、売上を修復のための奉納金として神社に収めている。1枚2500円で原価を除いた1500円分が奉納される。7月から売り始め、既に約40万円を奉納した。
 神輿の修復には1000万円ほどがかかる見通しで、その1割の100万円が目標。松戸神社氏子町会の染谷宗成さんは、「神輿を新しく作った場合は5~6000万円程度かかると聞きます。1000万円でも修復のほうがずっと安くできる。現在はなにか行事がある時にTシャツを販売していますが、今後は社務所でも買えるようにしていきたい」と話していた。
【戸田 照朗】

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