6月9日 同窓会嫌い

毎度話のタネに取り上げる日経夕刊「あすへの話題」。今日は南木佳士という医者出身の作家。彼は40代の頃(年齢からすると30年近く前か)「うつ病にからめとられているあいだに心身が生きのびることを最優先するべく変容した。:原文のまま」つまり自分史がそこで断ち切られ、過去はいつでも都合よく上書きや修正が可能なものになったという。うつ病はどんなに嘆いても過去には戻れないのだという冷徹な事実を不快な症状として身に染み込ませた。あるとき、それまで興味もなく欠席してきた高校の同窓会で幹事学年代表の短いスピーチを引き受けたのだが「開会式の会場で、ネットなどに老けた顔写真が晒されている身はすぐ認識されるのだが、分かりますか、と近づいてくる60代半ばの男女達に昔の面影を探すのは難しすぎやがてその作業に疲れ果てスピーチを終えると早々に場を去った。やはり過去は毫も懐かしくない。」と結ぶ。分かる気がします。