2月6日 日経「私の履歴書」

日経新聞連載の「私の履歴書」は今月から十五代樂吉左衛門さんが担当しています。私はこのコラムは功成り遂げた方々の自慢話のようであまり好きではありません。実は私は劣等生だった、ダメ人間だが妻のおかげで今の自分がある、会社内で異端児だったなど本人は気持ちよく書いているのでしょうが嘘っぽく心を揺さぶるネタはそうそう見ません。ところが今回は450年続く樂家の家督を次代に引き継いだ樂直入氏がのっけから芸術論をぶちます。第一回目の掲載では「作家は世間の言葉を、既成の認識を超えねばならない。言語を超えること。それが作家の命、生きる意味だ」とおっしゃる。さらに樂家に生まれたことで初代長次郎、利休との出会いから伝統と独自性についてひとしきり述べた後「自分は何者か。芸術家でも職人でもない、私は「ちゃわんや」。言葉の垢に染まらない、この言葉が良い。と締め掲載が始まった。樂直入となった十五代の今に至るまでがとても楽しみです。