3月13日 営業担当者の雑記

東日本大震災から6年目。12日の日経に若松英輔という作家がこう書いていました。人はつねに二つの時空を生きている。人生の試練に遭遇するとき、世が「時間」と呼ぶものとはまったく姿を異にする「時」という世界があることを、ある痛みとともにしるのである。時間は過ぎ行くが「時」はけっして過ぎ行かない。時間的な記憶は、さまざまな要因で薄れることがあるかもしれないが「時」の記憶はけっして消えることがない。悲しみは、私達の心の中でいつしか一つの種になり、それが静かに花開いた時、他者の悲しみを感じ得る哀しみになるという。肉親を大事な人を目の前で一瞬にして失った人たちの悲しみを私は共有することは出来ない。氏は離別という悲痛の経験は、誰かと出会う事がなければ生まれない。別れとはけっして消えることのない新しき邂逅の合図なのではないだろうかと結ぶ。人間は忘れることで心が壊れることを防いできたがそれは決して忘れ去ることではない。「時」は終わりのない紙芝居。