11月30日 寒い朝

今朝は前夜の天気予報で寒くなるという話だったので外していた裏地をコートに取り付けました。朝は快晴。西の空は真っ青、南の空はウロコ雲。裏地を付けて正解でした。好きな俳人川崎展宏に「冬と云う口笛を吹くやうにフユ」という面白い句がありますがまさにそんな天気です。口を開くのが大義というほど寒くはありませんが空気が澄みわたり顔の皮膚に緊張感があり思わず口を尖らし「フユ」と発声してみる、そんな衝動に駆られる天気でした。ところでボチボチ花がなくなる時期になってきましたが我が家の近辺ではやたら「皇帝ダリア」を植えているお庭をよく見ます。何しろこの花人間の背丈をはるかに超すほどとても背が高くすこし風があるとゆらゆら揺れ地味なピンクの花が大仰に振れます。今日のように風のない日はスックと姿勢よく伸びており如何にも皇帝のようです。名前の由来は知りませんが。11月も最終日。いよいよラストスパートですね。

11月27日 六十の旅立ち

日経夕刊に仏教学者の佐々木閑氏のコラムがありますが今日のは三蔵法師法顕さんの話。因みに三蔵法師とは個人名ではなくインドから伝わったお経を漢文に翻訳したお坊さん達の総称とのこと。で今から1600年ほど前この法顕さんは長安を出て徒歩でインドに行きまだ中国に伝わっていない仏教の聖典を手に入れスリランカでインド語をマスターし帰りはそこから船に乗り東南アジア経由で青島の近くに漂着した。艱難辛苦の連続だった。彼が出発したのは60歳中国に戻ってきたのが80歳近くそれから死ぬまで本来の目的である翻訳に取り掛かったのだと。法顕さんの一生を俯瞰すると60歳までが準備期間でそこから本当の人生が始まったといえる。彼のような生き方は到底叶わないがせめて志だけでも剛毅質実で通したい。人生100年時代の一つの手本として佐々木氏の学校で社会経験を積んだ後一念発起して仏教学の道を志している人達への励ましの話とくくる。痛し!

 

 

11月25日 しぐれ?

まあなんという寒さでしょう。12月の気温とのことですが気温の変化が激しいのでまだ寒さについていけてません。もしかして「はつしぐれ」かな?ところで昨日毎月取っているサプリメントの会社から来年のカレンダーと手帳が送ってきました。もうそんな時期なのですね。カレンダーはこの会社が運営している美術館の収集品を12か月に掲載しているものでとても素敵です。この美術館は和ものとでもいうのでしょうか日本画、焼き物、装飾品などが得意なようで毎月重文や国宝などと書かれた作品を楽しみにしています。私は手帳はあまり使わないのですが商談するときに年間カレンダーが書いてあるページを広げたり、新聞、雑誌などで気になった催し物、作品などをメモするのに用立てています。ちなみに来月のカレンダーは「東海道五十三次<保永堂版>のうち原 朝之富士」という広重の版画です。富士山の頂上が画面から飛び出しており麓が赤く染まった作品です。

11月24日 渋沢栄一

11月22日号の「松戸よみうり」に来年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公渋沢栄一と徳川昭武のことが載っています。要約すると最後の将軍慶喜がパリ万国博覧会への参加を決めたとき将軍の弟昭武が名代としてフランス使節団を率いた。その随行団は帰国後明治政府の近代化に大きく貢献することになるのだがその中の一人が渋沢栄一ということなんですね。さらに松よみでは再度フランスに渡った昭武の激動の一生を綴っている。松戸には「戸定歴史公園」として一般公開されている昭武創設の松戸徳川家の住居があるが、その縁で今回松戸市シティープロモーション担当室がこの大河ドラマがもっと面白くなるようにということで渋沢の命日にあたる11月11日に各プレスを招き昭武の生涯やライフスタイルを紹介し記事はそこからの取材とのこと。1万円札に顔を出すなど渋沢栄一は時の人ですが徳川昭武も幕末から維新にかけて重要な役目を果たしたようです。

11月20日 ドラエモン

今日の読売朝刊にとてもユニークな宣伝がありました。裏表2ページで真っ青な紙に「のび太」と「しずか」がそれぞれ載っています。「STAND BY ME ドラエモン2」という題名の映画の宣伝です。片面でのび太が「ぼくはしずかちゃんを幸せにすることはできない。子供のころから勉強も、走るのも力はしずかちゃんより弱い。今まで何かで一番になったことがないそんな男がしずかちゃんを幸せにすることはできない。ぼくじゃない他の人と幸せになってください。僕のことは探さないでください」そして片面でしずかちゃんが「勉強が出来なくても走るのが苦手でも力が弱くてもかまわない。人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる、そんあ優しいあなたが大好きです。だから逃げないで戻ってきて。私はあなたとなら間違いなく世界で一番しあわせになれるから」ドラエモン50周年記念作品で本日公開。身につまされこの文句だけでうるうるしてきました。

11月19日 梅屋敷のさざんか

最寄駅から会社までは歩いて22,3分。途中他家の庭を拝見しながら歩くのは結構なものです。会社のすぐそばには梅の時期になると少し高台にあるお宅の庭が真っ白にみえるような梅屋敷があるのですが、ここの植栽が山茶花で今朝は赤い花びらが沢山散っておりその上を歩いてきました。贅沢でしょう!山茶花と椿は同種でよく似ていますが花の時期は簡単に見分けがつきます。山茶花は花びらが散るのに対し椿は花ごと落ちるのです。ですから花びらが乱舞しているこのお屋敷の花は山茶花です。ちなみに花の首が落ちる椿は武士に嫌われていたんだとか。でしょうね。山茶花は12月頃まででいよいよ寒くなると椿が咲き始めます。分厚い緑の葉と花の少ない寒い時期に咲く椿の花は冬の象徴のように思えます。どちらも純国産で万葉の頃から親しまれていたようです。「ふと咲けば山茶花の散りはじめかな:平井照敏」もうしばらく散りながら咲き続ける山茶花を楽しめます。

11月18日 西友が楽天Gに

先日楽天と米都市ファンドがウォルマートから西友の株式85%を取得すると報道されていました。西友は1960年代に設立され当時は日本のスーパーをけん引する存在で次から次に新しいアイデアを実行に移し注目の的でした。社長は詩人でもあった堤清二氏。「無印良品」「ファミリーマート」をつくるなど業界の顔でもありました。バブルの崩壊で「無印良品」「ファミリーマート」を売却するなどして生き残りをかけましたが,2002年米の超巨大企業ウォルマート傘下に入り彼らのノウハウで再起を期しました。しかし「EDLP」は日本では馴染めずかつての競合であるヨーカドー、イオンとは圧倒的な差がついてしまい、ついにウォルマートの協力だけでは復興することが出来ずこの度楽天と「ネットとリアル店舗の融合」を加速させることになりました。いまやネット民を取り込まないと生きていけないスーパー。ますます激化する業界でどういう位置に立てるのか。

 

 

11月17日 オストメイト(人工肛門保有者)

昨日何気なくテレビを見ていたらオストメイト(人工肛門保有者)の話がありました。オストメイトは病気の為通常の便、尿の排泄が出来なく直腸、尿管から直接体の外に取り付けた袋(ストーマ)の中に貯めている人達のことです。確か亡くなった渡哲也さんがそうだったと思いますが全国で20万程いるそうです。昨日の話はオストメイトである英国人モデルが水着姿で自身を表現している姿に影響を受けた同境遇の女医さんが同じく水着姿でその姿を現し、またストーマ製作者と袋から排せつ物が漏れる、袋が透明なことなど不自由に思っていることを改善する為話し合い、さらにそれをテレビで見たオストメイトである少女が女医と会い透明な袋にかわいい模様を貼って貰い女医の活動を通じて積極的に通常生活に飛び込んでいけるように勇気をもらったという内容でした。オストメイトのことは初めて知り世の中は彼らが生きやすいようにはなっていないことを痛感しました。

11月16日 藤十郎の恋

先日4代目坂田藤十郎さんが老衰で亡くなったと報じられていました。私は歌舞伎は見たこともないし彼自身も知りません。ただずっとずっと若いころ菊池寛の「藤十郎の恋」を読んだことがあるのを思い出しました。といっても題名からの好奇心が動機で中身は全く覚えていませんでしたのでこれを機会にざっと振り返ってみました。江戸の歌舞伎役者藤十郎が新作「役者と人妻の恋」が主題の芝居を演じるにあたり実際に幼馴染の人妻を口説きその役を作り大評判を得たが役者として人の心を弄んでしまった自分に懊悩するといった内容だったかと思います。昔のことなので間違えているかもしれませんが。「芸のためなら」とか「浮気は芸に艶が出る」という言葉も聞きますが人それぞれに反応も違うのでしょうからたった一つの偽りの恋で大喝采の演技というのもすごい気がしますが。若いころから艶聞華やかだったと聞く4代目の艶技にはその経験が活かされているのかも。

 

11月13日 焚火

今朝出勤途中で山茶花を見ました。いつながらの真っ白なあるいは薄いピンクの花で清楚な感じがあります。ふと花の連想からか「さざんかさざんか さいたみち たきびだたきびだ おちばたき」と古い童謡を思い出しました。焚火を最後にしたのはいつだったろうか。最近一人で山に入り焚火をするというのが流行っていると聞きました。あまりに世の中が便利にそして物事が複雑になりすぎたので少し不自由さを味わいながら心の自由を取り戻そうというのでしょうか。「とっぷりと後ろ暮れゐし焚火かな:松本たかし」という句があります。結構好きな句です。私の勝手な解釈ですが「何かに悩むでもなく考えるでもなく一人で焚火の燃え上がる火をずっと見ていたらすっかり日が暮れてしまっていた」というのです。火は暖を取るだけでなく人の心も温めてくれます。せわしない世の中で少し心が窮屈になってきたら有り合わせの木で焚火をし無心になるのもいいですね。