全国で1万4457頭
犬猫の殺処分はいつなくなるのか

動物愛護週間
 9月20日から26日までは、動物愛護週間。2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)全国の動物愛護センター(保健所)などで殺処分された犬猫は1万4457頭だった。そのうち、犬は2739頭、猫は1万1718頭。殺処分された幼齢個体(子犬・子猫)は犬が540頭、猫は7407頭だった。猫は、約63%が子猫ということになる。
 引取り数は犬が2万4102頭で、8402頭が返還され、1万3116頭が譲渡された。譲渡数のうち幼齢個体は4106頭。猫は3万4805頭で、224頭が返還され、2万2888頭が譲渡された。譲渡数のうち、幼齢個体は1万5476頭。
 年間に犬猫合わせて1万4457頭が殺処分されたという事実は重く受け止めなければならないが、統計にある一番古い記録は1974年度(昭和49年度)で、約122万1千頭が殺処分されていた。殺処分数は毎年右肩下がりで、前年2020年度に比べても約1万頭減少している。逆に、右肩上がりなのが、返還・譲渡率で、1974年度はわずか2・3%。2021年度は75・8%だった。
 最近は行政も殺処分ゼロを目指して、地域猫活動への助成や啓発、譲渡にも力を入れている。千葉県動物愛護センターのホームページでも里親を募集している。また、民間ボランティアの動物愛護団体が引取る数も相当数にのぼると思われる。愛護団体はシエルターを作り、譲渡会を開いて里親を募集するなどの活動を行っている。
 千葉県では、動物愛護センターの本所が富里市御料にあり、東葛飾支所が柏市高柳にある。松戸市は東葛飾支所の管轄で、ほかに市川市・野田市・習志野市・流山市・八千代市・我孫子市・鎌ケ谷市・浦安市が含まれる。政令指定都市の千葉市と中核都市の船橋市、柏市は自前の保険所を持ち、独自の動物愛護行政を行っている。
 千葉県(千葉・船橋・柏市除く)で2021年度に殺処分された犬猫は238頭(犬105頭、猫133頭)だった。千葉市は27頭(犬0頭、猫27頭)。船橋市は55頭(犬2頭、猫53頭)。柏市は4頭(犬2頭、猫2頭)だった。合計すると、千葉県全体では324頭になる。
 行政による犬猫の殺処分がゼロになる日は来るのだろうか。統計上の殺処分数がゼロになったとしても、業者による過剰繁殖や遺棄、多頭飼育崩壊の問題など、課題は残り続けるだろう。しかし、私たちの税金によって動物の命が奪われるという理不尽が終わることには意義がある。
 なお、新聞などでは統計の数字を約何万、何千と略して記載することが多いが、一頭一頭が大切な命であるとの思いから、下一ケタまで記した。
【戸田 照朗】

記者が保護した猫たち。10年前の写真ですが今も元気です。親子のように見えますが、別々に保護された猫なので親子関係はありません。子猫は時間差で同じ場所で保護されたので、きょうだいの可能性はあります

不幸な犬猫をなくすネットワーク千葉
犬猫の不妊去勢キャンペーン

 千葉県でも地域猫活動(飼い主のいない猫の不妊去勢手術をして、地域で見守り管理し、一代限りの命を全うさせる取り組み)に力を入れ、「犬猫の殺処分ゼロ」を目指している。
 首都圏の動物病院とボランティアによる「不幸な犬猫をなくすネットワーク千葉」は、今年も通常料金の半額程度で犬猫の不妊去勢手術を提供する「不妊去勢キャンペーン」を実施。この活動は今年で34年目になる。
 ▼対象=手術費用にお困りで、東京、神奈川、千葉、埼玉の指定病院に連れて行ける方
 ▼手術期間=来年3月末日まで
 ▼申し込み方法=封書で、手術を受けさせたい①犬猫の別、②性別、③頭数、④申し込み者の住所、氏名、電話番号を明記し、94円切手を貼った返信用封筒(申し込み者のあて先を記入)を同封の上、〒285ー0807千葉県佐倉山王郵便局局留「不幸な犬猫をなくすネットワーク千葉」行へ
 ▼キャンペーン期間中の手術料金=猫メス1万500円、オス5500円。犬メス1万8500円、オス1万500円(犬のみ15キロ以上は料金加算)
 ▼FAX専用受付=043・485・1527
 ※手術料金のほか、運営費として1頭につき500円頂きます。 ※年間通して前記料金で手術を受けられる動物病院もあります。

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