市提示比較表では「移転建て替え」に実現性
市庁舎整備検討委、来月中間答申

 老朽化した市庁舎の建て替え問題で、松戸市は3日、「移転建て替え」「現地建て替え」「現地一部建て替え」の3案を事業期間や事業費などで評価した比較表を市議会公共施設再編検討特別委員会に提示した。また、市庁舎の建て替えについては、学識経験者や公募市民らによる松戸市庁舎整備検討委員会でも議論が進められており、9月上旬を目途に中間答申(概要骨子)が出されることになっている。
 現在の市役所庁舎は、敷地内に本館・新館・議会棟・別館の4つの建物があり、本館は建築後60年、新館は50年が経過し、建物本体及び設備の老朽化が目立つという。来庁者の安全確保の観点や、大規模地震の際には倒壊の危険性があることなどから、早急な整備(建て替え)が必要として、市では検討を進めている。
 市議会特別委に示された比較表では、松戸駅東口の国有地への移転建て替えをA案、現地で全部建て替えをB案、現地で本館・新館だけを建て替える一部建て替えをC案として、それぞれの事業期間、事業費などを提示し、災害対応拠点やまちづくり、市民サービス、事業スケジュール、事業の実現性など、異なる視点での評価を点数などであらわしている。
 比較表によると、A案の事業期間は約8年間で事業費が249・2億円。同様に、B案は約13年間で259・7億円、C案は約12・5年間で253億円としている。事業期間、事業費ともに移転建て替えを最も優れた案として提示しており、評価のコメントでもA案を「執務スペース、駐車場の仮移転先の確保が不要であり、実現性が高い。災害対応視点やまちづくり等の全視点において優れる」としているのに対して、B・C案には「執務スペース、駐車場の仮移転先確保の目途が立たず、実現困難。事業スケジュールや賑わい向上への効果等において劣る」と低い評価を下している。
 一方、松戸市庁舎整備検討委員会は、市より諮問のあった「今後の行政サービスのあり方と職員の働き方の方向性に係る検討(来庁者の変化を踏まえた窓口形態のあり方、支所と本庁のあり方他)」、「行政サービスを支えるハードとしての市役所機能の方向性に係る検討(執務室の有効利用、災害対応拠点のスペース活用他)」などについてこれまで6回の委員会を開催している。
 今月19日の第6回委員会では、9月上旬に予定している中間答申に向けて、中間答申書案の最終調整が行われた。中間答申書案では、今後の行政サービスのあり方と職員の働き方の方向性、行政サービスを支えるハードとしての市役所機能の方向性などについて記されている。そのなかで、既存施設のあり方として「本館・新館は、現状の施設状況を踏まえると、建て替え(解体)が妥当」とし、その上で「安全性を考えれば、全ての建物の建て替えが望ましいが、財源等を踏まえ、既存施設を活用していくことも検討していくことが妥当」としている。
 なお、最終答申は来年3月を予定している。【竹中 景太】

オンラインで行われた市庁舎整備検討委員会(傍聴席)

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