今月のラジオポワロ
もう一度感染対策を見直そう②

パーソナリティの上條榮子さん

 ラジオポワロ第446回では「正しく知ろう除菌・消毒」をテーマにお話ししています。
 先日、元総務相の竹中平蔵氏が「コロナ菌」と発言し物議をかもしていますが、コロナは「菌」ではなく「ウイルス」です。菌(細菌)は光学顕微鏡で見られる単細胞微生物で、自ら増殖が可能。一方、遺伝子を持つだけの単純な微生物のウイルスは、細菌よりはるかに小さく、見るためには電子顕微鏡が必要。自ら増殖できず、生きた細胞の中に入り込んで増殖します。大きさの比較でいうと、ウイルスは細菌の100~1000分の1のサイズです。
 さて、ここで除菌、殺菌、消毒についての用語を解説したいと思います。
 ①滅菌…文字通り「滅」(ほろぼす)という意味で、微生物の生存確率が100万分の1以下になること。
 ②殺菌…滅菌と違い、全ての菌を死滅させられなくても、数が減れば殺菌したことになる。
 ③消毒…病原性のある微生物を死滅させ、また害のない程度まで減らしたり感染力を失わせたりして無毒化させること。
 ④除菌…菌を取り除くことで、「どの程度菌を減らせばよいか」について明確な定義はないため、極論を言えば「水洗いでも」除菌したことになります。
コロナ禍で、ウイルスの「不活化」と耳にしますが、この「不活化」とはウイルスの構造を破壊し死滅させ、ウイルスの活動が失われた状態にすることですので、厳密にいえば滅菌・殺菌・消毒・除菌は「細菌(生物)」に対する作用となります。
 コロナ対策として有効なアルコール。濃度は70~80%のものが望ましいということですが、アルコールが効く微生物と効果のない微生物があります。消毒できる微生物は病原性大腸菌・黄色ブドウ球菌・サルモネラ菌などの食中毒の原因菌やカビ菌など、そして脂質性の外膜で覆われた「エンベローブ」を持つコロナウイルスやインフルエンザウイルスにも不活化効果があります。これに対し、ウェルシュ菌やボツリヌス菌のような芽胞を形成する細菌や、エンベローブを持たないノロウイルスには効果がないそうです。
 最近、ノロウイルスによる集団食中毒を耳にしますが、ノロウイルスの食中毒を防ぐために加熱が必要な食品は中心部まで加熱し、調理器具は次亜塩素酸ナトリウムに浸す、または85度以上の熱湯で1分以上加熱することが必要とのことです。
コロナ禍で習慣化されたアルコール消毒ですが、アルコールだけでは目に見えない微生物には対抗できないことを改めて実感しました。基本はやはり「手洗い」。そして菌・ウイルスに適した消毒を心がけたいと思います。
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