松戸この1年を振り返る
記者が見た、聞いた 2018年

 

敷地内から栗山配水塔をスケッチ(松戸市提供)

 あと3週間ほどで2018年も終わり。今年はどんな年だったのか。1年を振り返ります。【戸田 照朗】

 

 千葉県水道局栗山浄水場内の「千葉県水道局栗山配水塔」が昨年10月27日付けで文部科学大臣により国の登録有形文化財(建造物)に登録された。登録有形文化財への登録は、昨年6月の古民家「旧齋藤邸」の主屋に続いて市内2例目。2月4日には千葉県水道局主催で登録記念イベントが行われた。

外環道開通のプレイベントでパレードするクラシックカー

 栗山の配水塔は、常磐線の電車からも矢切の斜面林の向こうに特徴のあるドーム型の屋根が見える。松戸を訪れる人が最初に目にする、松戸を代表する景観の一つだ。

 6月には東京外かく環状道路の高谷~三郷南が開通し、松戸にもインターチェンジができた。民間施工で矢切の田園の中に物流センターを作るという話が進行しているようだが、景観が損なわれるのではないかと心配している。

「43年間ありがとう伊勢丹」と書かれた横断幕を掲げる市民有志

 3月21日に伊勢丹松戸店が閉店。43年の歴史に幕を下ろした。千葉市などでも百貨店の閉店が相次いだ。伊勢丹の跡にはショッピングセンターができる予定で、来春の開店に向け準備が進められている。昨年3月に閉場した北部市場の跡地ではショッピングモールの建設工事が続く。こちらは来秋のオープンを目指している。松戸周辺には既にいくつかのショッピングモールがある。おそらく同じような感じの施設になるのだろう。映画館の姿が松戸市から消えて久しいが、シネマコンプレックスも入るとのこと。駅前の映画館が郊外に。デパートが消えて、ショッピングモールが増えるという、時代の流れを感じる。

復元された旧徳川昭武庭園

 旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)が明治時代の創建当時の姿に復元され、6月1日から公開されている。2015年3月に国の名勝に指定されたことを機に工事が進められていたもので、古写真や文字記録をもとに細部にまでこだわって復元されている。市は福島県学生寮の跡地も購入し、「東屋庭園」を復元した。ここも元々は庭園の一部だったところで、古写真から東屋も復元されている。晴れた日には富士山もよく見えるという。

 6月10日の市長選挙で、本郷谷健次市長が3選を果たした。市役所や図書館、市民会館など松戸駅周辺の公共施設の移転を伴う駅前再開発や千駄堀の新駅構想など、開発にまつわる話が多い松戸市の運営をどうするのか、今後も注目していきたい。

初登庁。玄関前で歓迎を受ける本郷谷市長

 来年4月に開校予定の松戸市立第一中学校みらい分校(松戸市立夜間中学校)の生徒募集が7月から始まった。校舎は廃校になった旧古ヶ崎南小学校(古ヶ崎1丁目3073番地)が使われる。1983年4月に「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」(以下「市民の会」)が発足。35年間市に公立夜間中学の開設を訴え、自主夜間中学を運営してきたが、市は頑(かたく)なに開設を拒(こば)んできた。流れが変わったのは、教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)が2016年12月に成立したことが大きい。記者が市民の会の活動を取材するようになって

夜間中学の校舎となる旧古ヶ崎南小学校

から、20年が経つが、ここでも時代の変化を感じる。夜間中学は一時、行政から時代遅れのように言われていた。しかし、相変わらず解決しない不登校の問題などを背景に改めて必要性が認識されたのだ。偶然にも校舎として使われるのは旧古ヶ崎南小学校。かつて、旧古ヶ崎南小が廃校に至るまでの地元住民の反対運動も取材した。ここで結びつくとは、隔世の感がある。

 国会に目を転じれば森友・加計問題はあいまいなまま。働き方改革、カジノ法案、水道を実質民営化する法案などが与党の数の力で次々に成立。審議中の入管法改正案も時間の問題だろう。人の生存に欠くことのできない水道水を民間に任せて大丈夫なのか、外国人労働者の人権と日本人の雇用は守られるのかなど、心配な点は多い。

 

2018年の出来事

1月
・箱根駅伝で青山学院大が4連覇(3日)
・着物レンタル「はれのひ」が突然閉鎖(8日)
・旧優生保護法に基づき知的障害を理由に不妊手術を強制されたとして宮城県の60歳代の女性が国を提訴(30日)

2月
・平昌五輪で日本は冬季最多13メダル。フィギュアスケート男子で羽生結弦が2大会連続の金メダル。カーリング女子初の銅メダル。
・栗山配水塔の国の登録有形文化財登録を記念してイベントを開催(4日)

3月
・東京都目黒区で5歳女児が虐待死(2日)
・松戸唯一のデパート、伊勢丹松戸店が閉店。43年の歴史に幕(21日)
・森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、当時の財務省理財局長、佐川宣寿氏を証人喚問(27日)

4月
・愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から服役中の男が脱走(8日)。30日に広島市で逮捕されるまで逃走した。
・複数の女性記者にセクハラ発言をしていたと週刊新潮に報じられた福田淳一財務次官が辞任を申し出(18日)

5月
・日本大と関西学院大のアメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が無防備な関学大の選手に後ろからタックルをして負傷させた(6日)。関東学生連盟は当時の日大の監督とコーチを除名処分にすることを決めた(29日)

6月
・復元された旧徳川昭武庭園を一般公開(1日)
・東京外かく環状道路(外環道)高谷~三郷南が開通。松戸インターチェンジできる(2日)
・松戸市長選挙。本郷谷健次市長が3選(10日)
・「袴田事件」で東京高裁が再審取り消し(11日)
・史上初の米朝首脳会談(12日)
・成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が成立(13日)
・ル・マン24時間耐久レースの最高峰LMP1クラスでトヨタ勢が初の総合優勝(17日)
・働き方改革関連法が成立(29日)

7月
・来年4月に開校予定の松戸市立第一中学校みらい分校(松戸市立夜間中学校)の生徒募集開始。
・サッカー・ワールドカップロシア大会で日本が16強入り
・文部科学省の局長が便宜を図った見返りに息子を東京医科大に合格させてもらったとして東京地検特捜部に逮捕される(4日)
・西日本で記録的な豪雨(5日~)。死者220人以上
・オウム真理教事件で死刑囚13人全員の死刑執行(6・26日)
・ベトナム国籍で松戸市の小学校に通っていたレェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)が殺害された事件で、殺人罪などに問われた元保護者会長の裁判員裁判が千葉地裁で行われ、無期懲役の判決。検察側は死刑を求刑していた(6日)
・タイの洞窟で少年ら13人全員救出(10日)
・カジノを含む統合型リゾート(IR)法が成立(20日)
・埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41・1度を記録(23日)

8月
・東京医科大学の一般入試で女子と多浪生に対して一律に減点する不当な入試が行われていたことが発覚。
・山口県周防大島町で12日から行方不明になってた2歳の男児を大分県から駆けつけたボランティア男性が発見(15日)
・第100回全国高校野球選手権記念大会で大阪桐蔭が2度目の春夏連覇(21日)
・中央省庁の障害者雇用率の水増しが発覚。

9月
・台風21号が四国、近畿を縦断。死者14人。関西空港が冠水し孤立。タンカーが連絡橋に衝突した(4日)
・全米オープンテニス女子シングルスで大坂なおみが優勝(8日)
・安室奈美恵さん引退(16日)
・自民党総裁選で安倍首相が3選(20日)
・沖縄県知事に玉城デニー氏(30日)

10月
・ノーベル生理学・医学賞に京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(1日)
・トルコのサウジ総領事館でサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が殺害される(2日)
・内閣改造で、渡辺博道衆院議員(6区)が復興相、桜田義孝衆院議員(8区)が五輪相として初入閣(2日)
・台風24号の強風で「塩害」
・大迫傑(すぐる)がシカゴマラソンで2時間5分50秒の日本新記録(7日)
・経団連が2021年春から就活ルールを撤廃することを決定(9日)
・豊洲市場が開場(11日)
・地質学上の時代名に命名される見通しの「チバニアン(千葉の時代)」の根拠となる市原市の「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」が国の天然記念物に指定(15日)
・シリアの武装組織に拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが3年4か月ぶりに解放(23日)
・元徴用工訴訟、韓国最高裁が賠償命令(30日)

11月
・プロ野球日本シリーズ、福岡ソフトバンクホークスが2年連続日本一(3日)
・米大リーグで大谷翔平が新人王(年間最優秀新人選手)に選ばれる(12日)
・東京地検特捜部が日産自動車のカルロス・ゴーン会長らを金融商品取引法違反容疑で逮捕(19日)
・慰安婦財団解散へ(21日)
・大阪が2025年の万博(国際博覧会)開催地に選ばれる(23日)
・EU、英離脱協定を正式決定(25日)

12月
・山手線新駅は「高輪ゲートウェイ」(4日)
・国会で入管法改正案を審議。

※11月30日読売新聞朝刊掲載の「あなたが選ぶ10大ニュース 2018年 応募の手引き」「読者が選ぶ県内10大ニュース2018」を参考にしました。
※赤字は松戸市関連

 

松戸市が選んだ10大ニュース

・市制施行75周年(4月)
・3年連続で国基準の待機児童ゼロを達成(4月)
・松戸市在宅医療・介護連携支援センターを開設(4月)
・松戸駅西口駅前広場エレベーター・エスカレーター利用開始(5月)
・ご当地ナンバー「松戸ナンバー」の導入が決定(5月)
・東京外かく環状道路松戸インターチェンジが開通(6月)
・旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)が明治期の姿に復元(6月)
・市長選で本郷谷健次市長が3選(6月)
・ドミニカ共和国五輪委員会等と2020東京五輪競技大会の事前キ
 ャンプ等に関する覚書を締結(8月)
・音楽部活動の全国大会で市内の生徒が活躍(10月)
 ※松戸市総合政策部広報公聴課提供

 

今年亡くなられた著名人

スティーブン・ホーキング博士(宇宙物理学者・3月14日)
衣笠祥雄さん(元プロ野球選手・4月23日)
西城秀樹さん(歌手・5月16日)
桂歌丸さん(落語家・7月2日)
さくらももこさん(漫画家、エッセイスト・8月15日)
アレサ・フランクリンさん(米国の黒人女性歌手・8月16日)
中田京さん(松戸市議会議員・11月5日)
赤木春恵さん(女優・11月29日)

ブッシュ(父)元米大統領(11月30日)

 

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