おめでとう
湖月堂

赤飯に見立てた蒸し菓子

1895年(明治28年)創業、北九州市の和菓子店「湖月堂」の「おめでとう」は、赤飯に見立てた蒸し菓子である。

薄紅色で口の中でほろほろとほぐれるような柔らかさ。大粒の大納言小豆も味わい深い。祝いの席にふさわしい気品をたたえた銘菓だ。50年以上前に生まれ、今も人気が高いという。

北海道産のインゲン豆を炊いた白あんに、蒸して延ばしたもち米を薄焼きにして砕いた「みじん粉」を混ぜる。目の荒いふるいにかけ、そぼろ状にする。それを型に入れ、大納言小豆の蜜煮を散らして蒸し上げる。赤飯らしく見えるよう、そぼろをつぶさず、ふんわりと型に入れるのが、職人の腕の見せ所である。

かつては結婚式の引き出物などとして大きな桐箱に詰めたものが好まれたが、時代も移り、現在は食べやすい個包装になっている。蒸し菓子ならではの優しい甘さと、豊かな風味。抹茶や深煎りのコーヒーに合わせたい。

湖月堂は、表面をつややかに焼き上げた「栗饅頭」でもよく知られている。創業間もない頃、縁起が良いとされる勝栗を包んだまんじゅうを売り出したところ、戦勝を願う機運も相まって人気となった。これを機に、店も広く全国に知られるようになった。「『おめでとう』のような蒸し菓子は和菓子の伝統技術の一つ。次の世代に大切に伝えていきたい」と、同店の小島慎介さんは語る。

読売新聞 2018年12月 甘味主義より

湖月堂 http://www.kogetsudo.com/product/teiban/teiban02.html

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