煎雲丹
懐石一文字

卵黄と丹念に練り上げ

和食料理人,広瀬和彦氏は何事も手を抜かず、丁寧に仕事を重ねる。料理の由来や歴史の研究も欠かさず、茶懐石から懐石料理まで本格的に仕上げる仕事ぶりに、ファンも多い。東京・神楽坂の毘沙門天善国寺に近い店は、いつもにぎわっている。

お店でいただく料理はもちろんのこと、持ち帰り用の土産が殊の外うれしい。「牛肉のしぐれ煮」や「生姜の鼈甲煮」も良いが、今の時期は、北海道・礼文島産のウニを用いた「煎雲丹」をぜひ味わいたい。

練りウニに卵黄を加えて湯せんにかけ、ほろほろになるまで練り上げる。裏ごしした後に味付けし、さらに練り上げて仕上げるという。黄金色が美しい。

そのまま肴にしても良いが、キュウリやレタスなどにのせてもおいしい。熱々のご飯にふりかけても。ウニの香りがフワッと広がり、濃厚なうまみにお酒もご飯も進む。旬の食材を大切にし、その味を生かす広瀬氏らしい一品と言えよう。

手間がかかるため、注文から10日間ぐらいは待っていただきたい。それほどの価値ある逸品だ。わたしはこの煎雲丹食べたさに、毎年この季節を楽しみにしている。

保存料は使っておらず、クール便で届く。自宅に到着したらすぐに冷蔵庫へ。

お酒は、広瀬氏が「水のようにすっきりとしている」と薦める「得月」(新潟県長岡市、朝日酒造)を。9月限定出荷のお酒である。

読売新聞 辛味主義 2018年9月1日

懐石 一文字 Tel.03-5206-8223 住所:東京都新宿区神楽坂3-6-46

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