十火 

米菓にクリーム 軽やか

「十火」は、あられやおかきなどの米菓を作っている、1902年(明治35年)創業の老舗「とよす」(大阪府池田市)が2009年にスタートさせたブランドである。米菓の枠にとどまらない、楽しくてかわいらしい商品を手掛けている。

4月に新発売したのが、ごく薄い米菓にクリームを挟んだ「紗」だ。塩味のせんべいと甘いクリームの組み合わせを予想していた私は見事に裏切られた。クリームは甘さをぐっと抑え、米菓の部分はパリッとして、もち米や小麦ふすまの素材の風味が際立っている。

こだわりの一つは、とことん薄い米菓の仕上げ。そして米菓は湿気を嫌うため、クリームの脂分を高める一方、重い口当たりにならないことを目指した。クリームはココア風味のビター、優しい味のミルク、バターミルク味のホワイト、抹茶の4種類ある。

「紗」とは清涼感ある織物のことだが、その名にふさわしい軽やかさ指先でそっとつまんで味わいたい、おしゃれなお菓子である。米菓はこんな風に進化していくのかと驚かされた。

「伝統ある米菓だからこそ、お客様に驚きや発見を提供したい。職人の手作りを大切に、和でも洋でもない商品を作っていきます。」と広報担当の豊州牧子さん。

ブランド名の「十火」は、一文字に合わせると「米」に見えることから、付けられた。米菓専門店ならではの経験や知識が生きた創作菓子といえるだろう。

読売新聞 甘味主義 2018年4月21日

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