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Good Coice 〜新聞掲載の逸品〜

和食 山陰・山陽 鳥取県

甘爐
つるだや

後味すっきり 白いあん

創業95年を迎える鳥取県米子市の老舗和菓子店「つるだや」に、「甘爐(かんろ)」という銘菓がある。ふっくらと蒸しあげた薯蕷まんじゅうで、皮は上用粉に加えたツクネイモがふんわりと香る。あんは北海道産小豆の皮をむいてから製あんする「皮むきあん」だ。
あんを白く仕上げることに心を砕いているそうで、確かに普通のあんに比べると色が淡い。だが、小豆のうまみはちゃんとある。甘さがほどよく、後味はすっきり。焼き印を押した姿も風雅。茶席菓子やおもてなしにお薦めしたい。
甘爐は1950年代に2代目の鶴田芳一さんが考えた。戦後の混乱を経て、少しずつ世の中が落ち着いてきたころである。「平和になった今、人々はおいしいものを求めている」と思い切ってよい材料を使い、手間をかけ、質のよい菓子を作ることをめざした。
命名は米子の名誉市民で、風流人としても知られていた野坂寛治氏である。不老不死の飲み物と伝えられる甘露にちなんだという。米子は山陰の大阪と呼ばれ、商業、交通の要所。舌の肥えた人も多い。多くの人に支持されて現在に至る。材料や製法はもちろん、菓子を包む竹の皮や包装紙も当時から変わらない。
現在は4代目の陽介さんが名店を守る。祖父や父からは「自分は知らなくても、相手はこちらを知っている。ちょっとした立ち居振る舞いが店の評判を落とすことになる」とよく言われたという。「これからも地道に喜ばれる菓子を作り続けたい」と陽介さんは語る。

2020年1月25日 読売新聞 甘味主義より

つるだやHP  http://tsurudaya.jp/kanro.html

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