身ふっくら濃厚な脂
冬近づき、東北地方のおいしいものが色々と出回り始めている。今回、紹介するのは、宮城県石巻市にある「渡冷」の「金華塩さば」だ。
サバは秋から冬が旬。青森から茨城にかけての太平洋沖合で漁獲され、石巻魚市場に水揚げされる脂ののった大型のマサバは、「金華さば」と呼ばれる。
渡冷では、酢じめのサバを使った「金華あぶりしめさば」も人気だが、私は昔ながらの味が好きなので、さっぱりしている塩サバが好みだ。
「金華塩さば」は、半身を軽く塩水に漬けた後、個包装にして冷凍。届いたら、冷凍のままグリルで焼く。塩味がついているので味付けはいらない。焼きたては身がふっくらとして濃厚な脂がおいしく、皮もパリッと香ばしい。
阿部長商店は本社が気仙沼市にあり、観光事業などを展開している。渡冷は、同社の水産事業の一つとして、魚市場近くで1986年に始まった。
東日本大震災で、工場が津波の被害に遭い、近くの空き工場を利用して再スタートした。「金華塩さば」は、阿部長商店が経営する気仙沼市の水産物直販施設「気仙沼お魚いちば」でも販売している。
サバ好きの方に合うお酒は、地元で造られている「日高見 超辛口純米酒」(平孝酒造)や「隅廼江 特別純米酒」(隅廼江酒造)などの辛口の純米酒。渡冷の工場長でお酒が大好きな平塚一義さんに推薦してもらった。
読売新聞 2019年11月16日 辛味主義より