大柴船
中田屋

砂糖蜜にショウガ ひりり

金沢市の郷土菓子に、小麦粉生地の表面にショウガ風味の砂糖蜜を塗った焼き菓子「柴舟」がある。その姿は柴を売りに来る川舟、あるいは小川を流れる木の葉を模したと言われる。

同市の和菓子店「中田屋」はきんつばで有名だが、もう一つのお薦めは「大柴船」。名前の通り大きく、菓子皿からはみ出すほどである。

厚みのある生地はざくりと歯応えがあるが、口の中ですぐにほどける。砂糖蜜には生のショウガを使っているので、ひりりとした辛みが後を引く。一度食べたら忘れられないおいしさだ。

創業者の中田憲龍が修業の最初に習った菓子が、柴舟だったという。大柴船が誕生したのは終戦直後。まだ食料に貧しい時代だったため、安くておいしくてお腹が膨れるものをとの思いから、「大きな柴舟」が考え出された。この頃はきんつばではなく、大柴船が看板商品だった。

当時は砂糖や卵が不足し、生地も小麦粉だけだった。やがて砂糖を十分に使えるようになり、生地にも卵を加えたことで、ぐんとおいしさが増した。

現在、金沢には外国からの訪問者も増え、大柴船も新しいファンを増やしている。「中田屋にとって思い入れのある大切な菓子。今後も、さまざまな方に愛されるよう努力していきたい」と専務取締役の中田貢さんは語る。

読売新聞 2019年7月6日 辛味主義より

中田屋HP http://kintuba.shop21.makeshop.jp/shopbrand/010/X

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