すっぽん椀
柿傳

身と甲羅からうまみ

スッポン料理を全国のいろいろな店で食べる機会に恵まれてきた。おいしさは素材の良さはもちろん、調理の仕方次第で相当に異なるというのが、私なりの結論だ。

おいしい店を見つけても、遠方では出向いて口にすることがなかなかできない。そんな悩みを解決してくれたのが、東京の「新宿 京懐石 柿傳」の「すっぽん椀」だ。

京都の柿傳は、茶懐石料理の有名店。出向いて調理する出張専門で、茶会などでお世話になるが、料理を店でいただくことはできない。新宿の柿傳は、京都の茶懐石のスタイルを守りつつ、気楽な椅子席もある。

この店で煮物椀として出される「すっぽん椀」を手軽にいただけるようにしたのが、今回の品。国産のスッポンを使っている。日本酒で3時間以上かけてじっくり煮込み、身と甲羅からうまみを引き出している。昆布とカツオ節の特製だしを程よく利かせ、上品な味わいに仕上げる。

すっぽんのほぐし身とコラーゲンが豊富なエンガワを、白身魚のすり身で寄せてしんじょにし、粟麩と焼き目を付けた細ネギをあしらった。元気を付けたい人の肴にも、お見舞いの品にもぴったりだ。

お酒は、店の主人の安田眞一さんが、仙台市にある伊達家御用蔵の勝山酒造が醸す「純米大吟醸 勝山 伝」を薦めてくれた。豊かな香りと透明感、力強い味わいが秀逸だ。

2019年4月13日 読売新聞 「辛味主義」より

新宿 京懐石 柿傳HP https://www.kakiden.com/gift.html

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