いかのぶっかけ
浜長

唐辛子利き滑らか

日本各地のおいしい料理や行事を追い続けて随分たつ。2、3回目の訪問となる土地も増えた。何年ぶりかに尋ねると変化にがくぜんとすることも多いが、今回ご紹介する「浜長」は、昔ながらの素材と味を守り続けている。

最初に尋ねたのは25年ほど前。坂本龍馬が大好きなご主人の東仁岳さんと漁船の帰りを待ち、東さんから魚介の処理から漬け込みまで徹夜で教わった。龍馬の訓話を途切れなく聞かされた後、炊き上がったばかりのご飯でぶっかけをごちそうになった。

ぶっかけとは、東さんの出身地・高知で、漁師が船上で作る食事を指すという。新鮮なイカなどを刻んで調味し、ご飯にのせ、さゆをかけて食す。

浜長の「いかのぶっかけ」は、滑らかなイカを唐辛子やハチミツ、ゴマなどで仕上げ、辛さが利いている。熱いご飯にかけるのはもちろん、酒の肴としても合っている。

東さんの店はやがて立派な料理やとなり、ご主人が8年前に亡くなった後は、奥様のまゆみさんが東さんの味を守ってお弁当とぶっかけを販売する店を切り盛りしている。

今回、久しぶりに懐かしの味を口にし、この味を残したいと思った。ぶっかけにはほかに、「たこ」「ふく」もある。

お酒は、東さんが好きだった高橋商店(福岡県八女市)の「繁枡 辛口純米酒」とした。

2019年3月2日 読売新聞 辛味主義より

浜長HP http://www.hama-chou.jp/

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