LOGAN/ローガン

 

 

 

 

 トランプ大統領のアジア歴訪で改めて感じた「軍産複合体」というアメリカを支配する巨大な存在。トランプ大統領は各国で武器の売り込みに熱心で、その成果を強調していた。アメリカは平均すると10年に1度、大きな戦争を起こしているという。巨大な軍需産業は、常に戦いを求めている。
 インターネットやカーナビなどで使うGPS衛星も元々は軍事用に開発されたもので、私たちの生活に無関係ではない。
 原作となる「X―MEN」の連載がアメリカで始まった1960年代、日本では石ノ森章太郎の漫画「サイボーグ009」の連載が始まった。009の敵は「ブラックゴースト団」という「死の商人」(武器商人)だった。
 本作は映画「X―MEN」シリーズの中心的ミュータント、ローガン(ウルヴァリン)を主人公にしたスピンオフ作品の3作目にして完結編。
 近未来の2029年。25年間新たなミュータントが生れず、ほとんどのミュータントが死に絶えていた。ローガンは認知症の症状が出始めたチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)とキャリバンというミュータントとともにメキシコ国境にある廃工場で隠れるように暮らしていた。
 ローガン自身も老いた。リムジンの運転手として日銭を稼ぎながら、「もっと安全な場所」を探すため、ボートの購入を目指している。
 そんなローガンの前にガブリエラというメキシコ人の看護師がローラという少女を連れて現れる。ガブリ

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エラはカナダ国境の近く、ノースダコタにあるという「エデン」という場所までローラを連れて行ってほしいと懇願する。ローラは巨大企業トランシジェン研究所の武装集団に追われていた。研究所では恐ろしい研究が行われていた。ガブリエラはローラを連れて逃げてきたという。
 ローガンの能力は自然治癒力。しかし、長年の壮絶な戦いで疲弊し、能力が衰えたことで、より人間に近くなっている。傷は治りにくく、痛みも感じる。酒に逃げ、どこか死に場所を探しているようなローガン。自分たちのことだけでいっぱいいっぱい

のローガンは乗り気ではなかったが、結局ローラとチャールズを連れてノースダコタに行く事になる。メキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカの南の端から北の端までのロードムービーのようでもある。ローガンとローラ、そしてチャールズは擬似家族のようだ。
 2000年のシリーズ第1作から長年ローガンを演じてきたヒュー・ジャックマンとプロフェッサーX役のパトリック・スチュワートは今回の出演が最後だという。そういった意味で、集大成的な作品。ミュータントの戦いを中心にした今までの作品とは一味違う感じになっている。
 また、ローラ役のダフネ・キーンの演技がいい。シリーズが続くとすれば、今後はローラを中心に展開されるのだろうか。
 リアリティを追求したためか、R指定となっている。
【戸田 照朗】
 監督=ジェームズ・マンゴールド/出演=ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、リチャード・E・グラント、ボイド・ホルブルック、スティーヴン・マーチャント、ダフネ・キーン/2017年、アメリカ
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